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なかなか面白い人生になってきました。

美術史の変化

このところずっと、秋からの授業の準備にかかっている。

自分が?年前に受けた授業とほぼ同じ内容のものなのだけれど、言うまでもなく受けるのと教えるのでは全く違うので、勉強しなおし。学生の頃使っていた教科書は第11刷とあり、今のは第16刷なのだが、記述の違いが面白い。科学の進化は年代の鑑定を正確にし、考古学の新しい発見は歴史の見方を変える。特に、ヨーロッパの文化に対しては、従来の姿勢に批判的な態度がうかがえる。ギリシャの遺構は「民主主義の栄光の象徴ではなく、暴政と権力乱用の結果です。」と書かれているし、ミロのビーナスは「神話を借りて女性の裸を性的に表現」とフェミニズムが入り、楽しい。

美術史 I、といった概論のクラスは西洋の白人男性文化中心の視点が強く、アメリカでもYale大学などはトピック別のクラスだけを教える方針に変えてきている。短所と長所はそれぞれあると思うが、このような批評精神が教育の現場に反映されていくことは素晴らしいと思う。